2024年9月18日
CPF資格の取得は、単なる知識の習得にとどまらない。スズキでは、複数の現場リーダーたちがこの資格に挑戦し、マネジメント力を磨いてきた。現場での課題と向き合い、自らの行動を見直すことで得た手応えとは。資格取得の背景と、現場での実践を通じた変化を、5人の現場リーダーに伺いました。
磐田工場 技術課 組長 西尾 純 様
相良工場 機械課 組長 佐々塚 孝典 様
浜松工場 エンジン製造課 組長 寺田 誠一 様
金型工場 製造課 組長 川合 淳之 様
生産本部 操業統括部 生産教育課 課長 上田 雅善 様(事務局)
※以降敬称略、所属・役職はインタビュー当時
CPF資格に興味を持つようになった背景には、どのようなきっかけや課題があったのでしょうか?
寺田 CPFの存在は、社内で先輩社員が受験していたことを通じて知りました。ちょうどその頃、部署内で仕事が属人化し、改善活動が思うように進んでいませんでした。安全・労務・生産など広範囲の管理業務を担うなか、全体最適を見据えたマネジメントが求められていると感じていました
佐々塚 私もCPFという資格は先輩方から聞いて知りました。現場経験は長かったものの、労務やコスト、人員配置といった管理面には不安がありましたので、マネジメントの基礎を体系的に学び直したいという思いがありました。
西尾 社内の先輩がCPFを受験していたことで、自分も関心を持つようになりました。スタッフ業務は各課で1人ずつ配置されており、担当者ごとに仕事が分断されていました。設備不具合の情報が共有されず、ライン停止を招くような場面にも直面することも。こうした状況を改善するには、体系的なマネジメント知識が必要だと感じました。
川合 CPFという資格の存在は以前から耳にしていました。インドの金型工場を支援する中で、人材育成や伝え方の重要性を再認識し、指導力を高める手段としてCPFに可能性を感じました。
実際にCPF資格の取得を決意されたきっかけについて教えてください。
寺田 課題を感じていたタイミングで、会社からCPF取得の推奨がありました。現場で起きている問題を乗り越えるためのヒントになると感じ、受験を決めました。
佐々塚 先輩たちの姿を見て、「今年は自分が挑戦する番だ」と考えました。経験だけでは補えない視点を身につけたいという気持ちが大きかったです。
川合 上司の勧めもあり、自分の育成力やマネジメント力を高める機会としてCPFを選びました。海外の現場では、現地メンバーへの指導力が特に問われるので、体系的な学びが必要でした。
西尾 情報共有の弱さや属人化など、日々の業務で改善すべき課題が多くありました。CPFで得られる考え方や知識が、それらを打破するきっかけになると思い、受験を決めました。
CPFの学習を通じて、どのような取り組みや気づきがありましたか?
西尾 テキストの分量に最初は驚きましたが、自分なりに重要な部分を選び、1日1〜2時間、2ヶ月かけて集中的に学びました。
佐々塚 読む・書くを繰り返しながら、業務に活かせる部分を重点的に勉強しました。自宅で集中できる時間を見つけて取り組みました。
寺田 過去問とテキストを反復しながら学習しました。あいまいだった知識が整理され、正しい理解を持つことができ、自信に変わっていきました。
川合 知っているつもりだったことが実は誤解だったり、逆に自分の判断が正しかったと再認識できたり。学習を通して自分の仕事を客観的に振り返る良い機会になりました。
上田 事務局としては、受験希望者にテキストや過去問を配布し、学習環境を整えることを重視しています。集合研修こそ行っていませんが、各職場で自然と情報共有が行われており、合格者から直接アドバイスを受ける場面も多く見受けられます。こうした現場起点の学び合いが、CPFの実践には非常に有効だと考えています。
CPF取得後、どのような変化がありましたか?
西尾 これまでは紙やメールを通じて業務連絡をしていましたが、口頭で直接伝えるように意識を変えました。その結果、伝達ミスや認識のズレが減り、スタッフの動きも明確になってきました。
佐々塚 「第一線監督者の7つの役割」は非常に参考になりました。自身の行動や思考を多面的に見直すようになり、部下育成や自己研鑽への意識が高まりました。
寺田 CPFの学びを通して、これまで曖昧だったマネジメントの方針に明確な指針が持てるようになりました。部下からも「姿勢が変わった」と言われることがあります。
川合 インドの工場支援でも、CPFで得た視点を活用できています。現地の人材に伝える際の順序や表現にも、これまで以上に気を配るようになりました。
CPFをどのような方に勧めたいと考えますか?
佐々塚 役職の有無に関わらず、監督的な立場にある方はぜひ早めに取り組むべきです。全体のレベルアップにつながると感じています。
寺田 班長など、現場の最前線にいる方にも勧めたいです。CPFの考え方があれば、チームづくりや問題解決に役立つ場面が必ずあります。
西尾 CPFの考え方は、将来的に管理職を目指す方にとっても非常に有効です。組長同士の打ち合わせでも、共通認識を持って話ができるようになりました。
川合資格を通じて得られるのは、知識だけでなく考え方そのものです。将来のためにも、早い段階でCPFに触れておく価値は大きいと感じています。
上田 資格取得がスズキの掲げる「個の成長」に結びつき、社員一人ひとりのモチベーション向上につながることを願っています。今後も受験枠の確保や環境整備に努めながら、継続的な支援を行っていく予定です。